日焼け止めと海のおはなし

日焼け止めと海のおはなし

 

娘が1歳になる少し前、赤ちゃん用の日焼け止めを探していた時にふと思いました。「自分が塗っている日焼け止めは、赤ちゃんの肌に触れても安全な成分なんだろうか?」「そもそも、赤ちゃんが使えないようなものを日常的に使っていて大丈夫なの?」

もともと日焼け止め特有のキシキシ感や鉄のような臭いが苦手で、なかなか満足いく使い心地のものがなく、日焼け止めを使っていない時期もありました(今思えば恐ろしい)。何よりパッケージ裏の成分表にある謎のカタカナ物質の多いこと!親子で安心して使える日焼け止めはないものかと探していたなかで出会ったのがLittle Hands Hawaii 。このプロダクトとの出会いで、日焼け止めという枠を超えて、もっと大きな問題に気付かされることとなりました。

 

 

どうやって紫外線をカットする?

 ⚫︎紫外線吸収剤

ドラッグストアで販売されている多くの日焼け止めに使われているのは、紫外線吸収剤。あえて紫外線を吸収して、熱として放出する成分です。色がつかず伸びがいいのが特徴で、ジェルやスプレータイプが多いです。紫外線カット効果が高い反面、肌の表面で化学反応を起こすので、アレルギー症状を起こすことも報告されています。

 

⚫︎紫外線拡散剤

紫外線をミラーのように反射して日焼けを防ぐのが紫外線拡散剤。主に、酸化チタンや酸化鉄という白い微粉末なので、白浮きしやすいという特徴があります。吸収剤よりも肌への負担が軽いといわれていますが、気をつけたいのが「ナノ化されていないか=ノンナノ拡散剤ですか?」という点。ナノ化といって粒子をナノレベルまで小さくして液体に混ぜたりすることで、透明感が高まり白浮きを防ぐ&肌へのフィット感もよくなります。その反面、あまりに粒子が細かすぎて肌から体内へ吸収され、連続して使用することで蓄積されていくのだそう。

※ Little Hands Hawaiiの紫外線カット成分は、ナノ化されていないナノ酸化亜鉛です。

 

紫外線吸収剤やナノ化された紫外線拡散剤は、自然界にはもともと存在しない物質です。それらの物質が海に流れ続け、海に住む生きものたちが継続的に吸収すると、どうなるでしょう。わたしたちにとって利便性の高い(ように思われる)化粧品の原材料が今、珊瑚礁に深刻なダメージを与える原因のひとつとして大きな問題になっています。

 

 

ハワイでは日焼け止めの成分が法律で禁止に

たくさんの観光客が訪れるハワイでは、年間6,000トンもの日焼け止めが海に流れ込んでいるのだそうです。海洋汚染が進みサンゴの白化が深刻化するなかで、2018年、ハワイ全土で紫外線吸収剤の流通と販売を禁止する法案が定められました。この法案を議会に提出したのが、Little Hands Hawaiiのファウンダーであるロザリンとマイケル。ご夫婦のキッチンで生まれたひとつの日焼け止めが、子どもたちや環境、ハワイの未来を守る大きな動きへと繋がりました。法案は20211月より施行され、さらに202210月よりマウイ島では、2つの紫外線吸収剤だけでなくノンケミカルの日焼け止めの流通と販売が禁止されるなどより厳しく規制されています。

<規制の対象となる紫外線吸収剤>

オキシベンゾン、オクチノキサート
(日本ではメトキシケイヒ酸メチルヘキシルと表示され、市販の日焼け止めに多く使用されています)

 

 

日本ではこういった法レベルでの規制はまだありませんが、最近は、学校プールで日焼け止めの使用が禁止されたことが話題に上がっています。メーカーが「海にやさしい」「無添加」と謳うキャッチフレーズは、時に耳にやさしくて安心感を覚えることもあります。けれど、心地よさや便利さに傾くことで起きるマイナスの負荷に、なかなか気づくことができなかったりします。耳ざわりのよい演出に「本当にそうなの?」と疑問を持つことが第一歩になるのかもしれません。